シラー

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    フランスではローヌ地方を代表する品種であるシラーは、オーストラリアではシラーズと呼ばれています。ぶどう品種としては同じものですが、できあがるワインの特徴は大きく異なります。

    シラーとは

    主に赤ワインの原料となるぶどうで、フランスの中部から南部にかけて流れるローヌ川流域のローヌ地方が最も有名な産地です。かつては土地との相性が良くないと収量が少なく、ある一定の病気に弱いところからごく限られた土地でのみ栽培されていましたが、栽培技術の向上などによりその問題が解決されるようになってからは、1958年当時わずか1600haほどだった栽培面積が、ローヌ地方だけでなくプロヴァンス地方やラングドック・ルーション地方などにも広がって、1994年には37000ha、さらに2006年には67000haを超える勢いで拡大しています。

    さらにフランス以外にも、イタリア、南アフリカ、カリフォルニア、アルゼンチン、ニュージーランドなどでも栽培されるようになりました。ローヌ地方に次いで面積も大きく、世界的にも有名な産地がオーストラリアで、シラーズと言えばオーストラリアの赤ワインの品種では最大の栽培面積を誇る品種になっています。

    シラーの特徴は?

    かつてはどこででも育てられなかったシラーですが、現在ではむしろ栽培しやすいぶどうの1つとなって、世界第6位の栽培量となっています。生命力があり、ベト病にも強いのが特徴です。ぶどうの房は中くらいで細長く、実の大きさは平均的、皮の色は濃く卵形をしています。単体でもブレンドしても、どちらの場合もすばらしいワインを生み出します。

    しっかりと太陽が必要なブドウではありますが、高地であるなど少し冷涼な気候で育つ場合と、温暖な気候で育つ場合とでは、アロマや味わいに大きく違いが出るのも特徴です。

    シラーの香りや味わいの特徴は?

    この品種のもっとも大きな特徴といえば、ブラックペッパーやホワイトペッパーで表現されるスパイシーさでしょう。そのほかスミレ、甘草などのアロマも特徴的です。特に南の方のシラーは、ダークチェリーのような黒い果実に加え、ダークチョコレートやナツメグなどのニュアンスも感じられます。北ローヌの有名産地であるコートロティ、エルミタージュ、サンジョゼフなどはシラー単体で造られた長期熟成型のワインで、その土地でしか出せない繊細さ、深み、複雑さをもたらします。

    一方、コートデュローヌ、ラングドック=ルーション、プロヴァンス、コルビエールなどはグルナッシュやムールヴェードル、サンソーなどとのブレンドが主流で、より熟した果実のアロマで、スパイシーさは穏やかになり、他の品種のおかげもあってフルーティさが加わって飲みやすい親しみやすい味わいになります。

    シラーの基本マリアージュ

    そのスパイシーさと黒い果実や熟した果実のアロマ、適度なタンニン分から、子羊や牛肉といった赤身のお肉料理がよく合います。特にワインが若いうちは、グリルやバーベキューといったシンプルなスタイルの調理法が適しています。ワインが熟成してくるにつれ、煮込んだ肉料理やソースを使った調理法が良いでしょう。

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