ワイン産地特集「ボルドー編」
ボルドーワインについて
ボルドー地方はフランス西部に位置し、世界的に有名なワイン産地として知られています。海に近い比較的低い場所ですが、温暖な海洋性気候と、水捌けの良い土壌、南西に広がるランド地方の松林が大西洋の海風を遮ってくれるおかげで、ぶどう栽培が可能です。
ボルドーワインの大きな特徴は、ワイン造りの際に複数のぶどう品種をブレンドすることです。赤ワインはカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フランなど、白ワインはセミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ムスカデルなどの品種から造られます。
またボルドーは「シャトー・マルゴー」「シャトー・ラトゥール」「シャトー・ムートン・ロートシルト」などの著名なシャトーが手掛ける、希少で高価なワインも有名です。
数多くのシャトーがあるボルドーでは、特別で高級なワインから手頃に楽しめるワインまで、好みに合ったワインを幅広く探すことができるのも魅力の一つです。
ボルドーワインのポイント
1.複数のぶどう品種をブレンドする混醸ワインを造る際に、いくつかのぶどうを混ぜて造るのがボルドーワインの大きな特徴です。
2.ワイン造りに適した温暖な気候と重要な川の存在海に近く温暖な海洋性気候と、ドルトーニュ川やガロンヌ川、2つが合流したジロンド川によってぶどう栽培に適した条件を生み出しています。
3.赤ワインの生産量が80%以上タンニンの多い品種が栽培され、長期熟成に向く重口の赤ワインの生産が盛んなのが特徴です。
4.飲みやすいモダンな作りのボルドーワインも登場近年では人々の好みの傾向に合わせて、重口の赤ワインだけではなく飲みやすい味わいのボルドーワインも多数登場しています。
1.ボルドーワインの特徴は「ブレンド」
ピノノワールやシャルドネといった単一品種のワインが主なブルゴーニュに比べ、ボルドーのワインはいくつかのぶどうを混ぜて造ります。比率は生産者によって様々ですが、奥行きが出て複雑な味わいのワインになるのが特長です。初めは少しとっつきにくい印象を受けるかも知れませんが、その奥深さ、懐の広さは一度しっくりくると長く愛される要因になるでしょう。
赤ワイン用の主なぶどうの品種は、カベルネソーヴィニョンを中心にメルローやカベルネ フラン、マルベックなどが栽培されています。タンニンが多く含まれるため、重口で長く熟成が楽しめるワインがボルドー産のものに多い理由もここにあります。
白ワイン用にはソーヴィニョン ブラン、セミヨン、ソーヴィニョン グリなどが栽培され、ミネラル感のあるすっきりとした辛口の白ワインや、甘口のソーテルヌワインなどが造られています。
2.ボルドーの気候と地理
海に近いボルドーは、海洋性の温暖な気候が特徴です。冬は穏やかで夏に暑くなる気候ですが、夏は雷雨により降水量が増える地域でもあります。
ボルドー市街地の北ではドルトーニュ川がガロンヌ川に合流しジロンド川となって大西洋に流れ込んでいます。その間の三角江や川の流域がワインの生産地となっています。
それぞれの川の水流が運んだ土や石が混じり、ぶどう栽培に向く水はけの良い砂利質の土壌が生まれました。またシロン川とガロンヌ川の合流地点では霧が発生しやすく、その結果として貴腐ワインのソーテルヌが生まれるなど、ボルドーを流れる数々の川が、ワインを特徴付ける要因となっています。
3.ボルドーワインは赤ワインが有名
ボルドーで造られるワインの80%以上は赤ワインです。そのこともあり、ボルドーワインというとタンニンのしっかりした重口の赤ワインをイメージする人も多いのではないでしょうか。
ボルドーワインが世界的に有名になったのにはこの地の歴史も深く関係しています。12世紀にアキテーヌ王女とイギリス王の結婚によりボルドーは一時英国領になりました。大河ジロンド川を中心に「月の港」として栄えたボルドーからは、年間5~9千万リットルというワインが英国へ出荷され中世最大の貿易となりました。
こうして近世以降、ボルドーワインはイギリスの世界発展と共に世界中のイギリス支配地域に向け輸出されて、不動の地位を築きました。
そのためボルドーではイギリス人の好みに合い、また輸出の際に航海に耐えられる濃い赤ワインが発展していきました。
4.近年は飲みやすいモダンな作りのボルドーワインも登場
フランスでは若者のワイン離れが進み、ビールなどの人気が高まってきました。そのため、ボルドーでもアペリティフなどで飲みやすい軽やかな味わいのワインや、すっきりとしたスパークリングワインに力を入れる生産者も出てきました。
マヴィのボルドーワイン生産者
ピヴァ家/ボルドー アントル ドゥ メール地区
シャトー プショー ラルケ・シャトー デ セニャール ド ポミエ
ピヴァ家が持つシャトー プショー ラルケ&シャトー デ セニャール ド ポミエは、ボルドーならびにアントル ドゥ メールのアペラシオンに属し、畑は粘土珪土質の土壌の斜面部分ならびに平地にあります。この土壌の深層部は、粘土質のみです。畑は南、あるいは南西に向いており、日当たりに非常に恵まれています。
ピヴァ家は、ずっとオーガニック農業を続けてきましたが、1984年公式に認証を取得しました。ワイン農家としての経験とノウハウを積み、今日ではコンクールにおいてメダル受賞の多い農家の一つとなりました。もちろん、受賞が多くて美味しいだけではなく、心も満たし、皆さまのお食事を幸せの時間に変えるようなパワーを持ったワインばかりです。
「樽を使うとどれも同じ味になり、その土地の個性を見えなくしてしまうようで気に入らない」という前当主のジャン=リュック。ボルドーといえば樽を使った赤ワインのイメージが強いですが、ぶどう本来の味わいを大切にしているため、あえて樽を使用しません。ぶどうの種まで完熟してから収穫するため、樽を使わなくてもふくよかな赤ワインに仕上がります。
普段使いのボルドーワインを探したいアントル ドゥ メール地区
「アントル ドゥ メール」は仏語で「2つの海の間」という意味です。ガロンヌ川とドルドーニュ川の2本の大河に囲まれる地区のため、川を海に見立てて名付けられました。ここは太古は海の底で、沖積堆積物が作った粘土珪土質土壌はカルシウムが豊富、あちこちで牡蠣殻の化石が作った地層が露呈しています。ここからミネラル感のあるワインが生まれます。
ボルドーといえば赤ワインが主に造られていますが、この地区では魚介類に合うような、きりりとして爽やかな良質な白ワインも多数生産されています。アントルドゥメールでワインを造るピヴァ家は、シャトープショーラルケと、シャト-デセニャールドポミエの2つのシャトーを持っており、プショー ラルケは丘の上の方、セニャールはそこから車で5分ほど離れたやや麓の方にあります。
土壌は、プショー ラルケがカベルネ ソーヴィニョン向きで、セニャールはメルロー向きでサンテミリオンやポムロールに似た傾向があります。比較すると、プショー ラルケの方が力強く、セニャールの方が柔らかな飲み口です。
>>ピヴァ家のワイン一覧へ
ラビュゾン家/ボルドー グラーヴ地区
シャトー モンバザン
グランヴァンで有名なボルドーはグラーヴ地区。ラビュゾン家のシャトー モンバザンはランディラスという村に位置します。このあたりは、村を少し出るととどの道沿いにもぶどう畑が広がります。ラビュゾン家は、1668年時点で既にワイン農家を営んでいた何世紀もグラーヴでワインを造りつづけている一家です。
気候や土壌の特徴としては、大西洋気候ですが、ランド県の森(松林が中心)のお陰で、大西洋から来る風は遮られています。気温はちょっとつむじ曲がりなところもあって、やや高め。土壌は平面に位置し、畑の一部は石が多く、また一部は粘土・石灰質と砂が多い土質になっています。ぶどうの収穫は全て手摘みで行っています。
ラビュゾン家のワインはどれもわかりやすく、飲みやすく、様々なシーンや食事と楽しめる裾野を広げた味わいのものばかりです。
懐かしさを感じるグラーヴ地区
ボルドーの南西部に位置するグラーヴ地区。グラーヴとはフランス語で「砂利」を意味し、グラーヴにあるラビュゾン家の畑も砂と鉄分を含む石ころが混ざった粘土石灰質の土壌が特徴です。イギリス領時代、ボルドーで最も輸出されていたのがこの地区のワインといわれています。17世紀以前からワイン農家を営み、グラーヴワインを造り続けているラビュゾン家のワインはどこか懐かしさを感じる味わいを楽しんでいただけます。
>>ラビュゾン家のワイン一覧へ
フルコー家/ボルドー ソーテルヌ地区
シャトー ラ ギャレンヌ
フルコー家ではソーテルヌ地区で、稀少なオーガニックソーテルヌを造っています。ソーテルヌは、ボルドー地方の南部で造られる世界3大貴腐ワイン産地のひとつで「貴腐ワインの王様」と呼ばれる高級極甘口ワインです。
甘く、独特の風味を持った味わいのソーテルヌですが、作るのが非常に大変です。まずは貴腐菌(ボトリティス シネレア)というカビが果実の表面につき、菌糸が皮に微小な穴をぽつぽつと開けて、そこから果肉の水分が蒸発し、その結果、糖度が高い貴腐ぶどうが得られます。貴腐ぶどうができるためには、気候が大変重要。果実が熟す秋に、午前中は霧が立ちこめ、午後には晴れるという特別な条件が必要です。そのため、ごく限られた地域でしか造ることができません。
フルコー家ではそんな非常に厳しい環境の中で、極上の蜜のようなソーテルヌを造っています。
世界三大貴腐ワインの産地ソーテルヌ地区
フルコー家のあるボルドーの南部ソーテルヌ地区では貴腐ワインという甘口の高級ワインが造られています。
シロン川とガロンヌ川の合流地点は水温の差によって朝霧が発生しやすく、果実が熟す秋の午前中に霧が立ちこめ、午後には晴れるという特別な条件の地域でのみこのワインが造られます。
ぶどうに貴腐菌(ボトリティス シネレア)というカビが果実の表面につき、菌糸が皮に微小な穴をぽつぽつと開けて、そこから果肉の水分が蒸発することで、糖度の高い貴腐ぶどうが得られます。そのぶどうから造られるのが高級品のソーテルヌ。通常のワインがぶどうの木1本からボトル1本分のワインを造るところ、貴腐ワインはぶどうの木1本からなんとグラス1杯分しか作ることができません。
ソーテルヌは、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ、ハンガリーのトカイと共に、世界三大貴腐ワインの産地のひとつとされ「貴腐ワインの王様」とも呼ばれています。
>>フルコー家のワイン一覧へ
ボルドーワインと楽しむグルメ
ボルドーのあるアキテーヌ地域圏には、やはりワインと合わせたくなるような郷土料理が多く存在しています。
例えばぶどうの枝を薪にして焼いた牛肉のステーキや、子羊や、鴨、うなぎなど名産の食材を赤ワイン煮にした料理、またボルドー市内から西におよそ55kmほどのアルカッションにはアントルドゥメールの白ワインにぴったりの牡蠣の養殖場があります。
また近年日本で人気の焼き菓子カヌレもボルドーで誕生しています。これはワインの清澄(澱などを取り除く作業)にたまごの卵白を使用することがあるのですが、その時の残りの卵黄を利用するために誕生したともいわれています。
おすすめボルドーワイン
ピヴァ家の金賞受賞赤ワイン
・商品番号:37001
・生産者:ピヴァ家
(フランス・ボルドー)
・合う料理:すき焼き、豚の角煮、牡丹鍋、チーズなど
赤い果実のジャム、胡椒、バニラなど複雑な香りを持つ、しっかりと骨格のあるワイン。
優しく楽しむボルドー白
・商品番号:22031
・生産者:ラビュゾン家
(フランス・ボルドー)
・合う料理:ポトフ、ポテトコロッケ、白身魚のソテーなど
柑橘系果実やメロン、林檎など沢山のフルーツにハーブ、ミネラルが爽やか。穏やかな酸味で軽快な飲み口です。
極上の貴腐ワイン
・商品番号:35001
・生産者:フルコー家
(フランス・ボルドー)
・合う料理:青カビのチーズやフォアグラと合わせて。
貴重なオーガニックのソーテルヌ。丁寧に選り分けた貴腐ぶどうから造られたデザートワインです。
爽やかスパークリング
・商品番号:37008
・生産者:ピヴァ家
(フランス・ボルドー)
・合う料理:アペリティフ、前菜系のお料理、カスタードクリームを使ったお菓子など
ボルドーの辛口スパークリングワイン。シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵で、ふくよかな味わい。