ワイン産地特集「ラングドック・ルーション編」
ラングドック・ルーションワインについて
フランス南西部から南部にかけて、モンペリエ近郊からスペインとの国境に隣接するラングドック・ルーション地方。
夏の陽光と乾燥した空気、冬の湿潤したこの地の気候がぶどう栽培にはうってつけで、フランスで最大のワイン生産量を誇る地域です。
南らしい高い気温がぶどう作りに最適である一方、収穫や仕込みの時期も気温が高いため、冷却設備がなかった昔はワインの質があまり高くなく、テーブルワインやブレンド用のバルクワインが中心に造られていました。
しかし近年は、ボルドーやブルゴーニュにはない自由なワイン造りの風土に惹かれた新進気鋭の生産者たちが、自分の理想を追い求めこだわりのワイン造りに取り組んでいます。
健康に育ったぶどうと高い醸造技術により、親しみやすい価格ながら生産者のこだわりが詰まったワインを楽しめる地域として近年ではすっかり注目を集めるようになりました。
いうなれば「コストパフォーマンス抜群」のワインに出会える可能性が高い地域がここラングドック・ルーション地方なのです。
新旧様々なワインが入り混じるこの地方で、ぜひお気に入りの1本に出会ってくださいね。
ラングドック・ルーションワインのポイント
1.ぶどう栽培に適した気候フランス南西部から南部に位置するラングドック・ルーションは暑く乾燥した気候で、ぶどうの栽培に適した環境です。
2.テーブルワインからこだわりのワイン造りへラングドック・ルーションはかつては安価なテーブルワインやバルク販売のワインが中心の産地でしたが、1980年頃から新進気鋭の生産者が参入し高品質のワインも造られるようになりました。
3.オーガニックワイン先駆けの場所ラングドック・ルーションは暑く乾燥した気候によってぶどうが病気になるリスクが低いため、化学肥料や農薬の使用を抑えたオーガニック栽培に向いています。
1.ぶどう栽培に適した気候
ラングドック・ルーションは元前よりギリシア、ローマ、カルタゴなどが行き交う文明の中心地で、ぶどう栽培も早くにもたらされました。
ぶどう栽培に向いた暑く乾燥した気候で、フランスで最大のワイン生産量を誇る地域でもあります。
また地中海性気候と大西洋岸気候のどちらの影響も受ける地域もあり、様々なぶどう品種が栽培できるのも魅力です。
2.テーブルワインからこだわりのワイン造りへ
ラングドック・ルーションは南らしい高い気温がぶどう作りに最適である一方、収穫と仕込みの時期の9月も他の生産地より気温が高く、冷却設備がなかった昔、この地方で造られるワインは安価なテーブルワインがほとんどでした。
そのためフランス一のワイン生産量がありながらも、ボルドーやブルゴーニュといった高級産地のように取上げられることはあまり多くはなかったのです。
しかし1980年代以降、様々なぶどう品種に適した気候や、比較的自由なワイン造りの風土に惹かれ自分の理想のワインを追い求める先進的なワイン農家や醸造家たちがこの地のワイン造りを盛り上げていっています。
3.オーガニックワイン先駆けの場所
ラングドック・ルーション地方はフランスのオーガニックワイン造りの先駆けとなった土地でもあります。
理想のワイン造りを追求した結果、オーガニック栽培に行き着くワイン農家は少なくありません。また、高級ワイン産地に引けをとらないための付加価値としてもオーガニック農業を選択するワイン農家が増えています。
この地方の暑く乾燥した気候によって、ぶどうが病気になるリスクが減るため、病気を防ぐための農薬を使用する必要も少なくなります。昔からぶどう作りに適したラングドック・ルーション地方は「無理をせずその土地に合ったものを」作るオーガニック農業に向いている土地でもあったのです。
また、マヴィの生産者が多数参加している世界最大のオーガニックワイン見本市「ミレジム・ビオ」も毎年1月にこのラングドック・ルーション地域圏の首府モンペリエで開催されています。
この見本市は、フランスでもまだまだオーガニック農業が浸透していない1993年にラングドック・ルーション地方のオーガニックワイン農家の有志によってスタートしました。
マヴィがオーガニックワイン専門店として創業した1998年にこの見本市を訪れたときの出展者はわずか50ブースのみ。その中には今でもお付き合いのあるプロヴァンスのドウェル家、ローヌのアシャール家もありました。
今ではフランス国外からの出展者も増え年々規模が大きくなり続けていますが、当時のアットホームな面影も残しながら、今日のオーガニックワインを牽引し続けています。
マヴィのラングドック・ルーションワイン生産者
ラングドック地方の特徴
ラングドックは「オック語(Langue d'Oc)」という意味を持ち、かつてロマンス語の中のオック語という言語が話されていた地域の総称となっています。マヴィのラングドック地方の生産者レヴォル家のドメーヌ名にも使われている「ブロー(Brau)」はオック語で「雄牛」を意味しています。
この地方で有名な場所といえば、カルカッソンヌ。ローマ時代に建設された城塞都市シテはユネスコの世界遺産にも登録され、フランスではモンサンミッシェルに次ぐ人気の観光都市となっています。要塞都市らしい入り組んだ細い路地のシテを歩くと、まるで中世にタイムスリップしたかのようです。
レヴォル家/フランス・ラングドック
ブロー
南仏ラングドック地方、オード川のほとりにある世界遺産・城塞都市カルカッソンヌ。レヴォルさんのぶどう畑と醸造所「ブロー(Brau)」からはそのカルカッソンヌの城塞や、ピレネー山脈の美しい山並みを見ることができます。
実は、マヴィ創業時からお付き合いのあった旧タリ家のドメーヌです。現在の生産者であるレヴォルさんが長年の夢であるワイン造りのために畑と醸造所を探していたところ、売りに出ていたタリさんのドメーヌに出会いました。オーガニック栽培であることはもちろんのこと、自分が造りたいワインに必要な多くの品種が植えられていたことが決め手となり、引き継ぐことを決めたのです。
ブローは、地理的には地中海地方に当たるのですが、大西洋岸気候の影響も受けており、南仏とボルドー両方のぶどう品種が栽培できます。ざっと挙げるだけでも、メルロー、カベルネ ソーヴィニヨン、カベルネ フラン、グルナッシュ、シラー、ピノノワール、シャルドネ、ルーサンヌなど、多種多様。
レヴォルさんのワイン造りは「オーガニック栽培よりさらに自然に近い、自然農法を実践」「樽を使わずぶどう本来のフルーティさを引き出すこと」「低温醸造や、温度管理の徹底によるキレのある味わい」が特徴です。
さらに毎年実験的に新しいワインに取り組み、二酸化硫黄無添加の「ナチュールシリーズ」なども手がけています。
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ベリュウ家/フランス・ラングドック
ブランケット ベリュウ
カルカッソンヌの西方、小高い丘の上にあるロックタイヤードという村にベリュウさんの醸造所があります。村までの道のりの景色は巨岩あり、ノコギリ大断層あり、渓流ありの趣溢れる道で、村自体も中世の面影が残る岩造りの廃墟も多く、まるで天空に浮かぶ要塞のような雰囲気。
ベリュウさんは自身の畑を1981年にオーガニックに転換し、「ナチュール&プログレ」というオーガニック団体の会長を務めたこともある職人気質の人です。
保存料としてのSO2(二酸化硫黄)を一切使用せず、「自分のワイン造りと異なるなら認証は取らなくても良いし、飲んでくれる人がおいしいと言ってくれればコンクールのメダルには興味がない」と言い切ってしまうなかなかの頑固者でもあります。
小さな醸造所にはDIYした手作り感満載のタンクが並び、醸造も手作業による行程がほとんど。大量生産はとてもできません。
ベリュウさんの造るやや甘口のスパークリングは、途中で糖分を追加するシャンパーニュ製法とは違いぶどうそのままの甘さを残しており、優しい味わいは初めてワインを飲まれる方にもおすすめです。
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ルーション地方の特徴
スペインとの国境に隣接するルーション地方は、1659年のピレネー条約によってフランス領になるまでカタルーニャの一部でもあったため、現在も食文化や言語などに、カタルーニャの色を強く残しています。
例えばブーリエ家のシャトー名「ルー(l'ou)」はカタルーニャ語で「卵」という意味ですが、これは敷地内にある馬の水飲み用の池が楕円形で卵に似ていたことから土地の名前につけられました。
またカタルーニャ人にとって神聖な山とされる風光明媚なカニグー山が有名で、ペルピニャンの町にはカタルーニャ人が残したレンガの城址なども残っています。
ブーリエ家/フランス・ルーション
シャトー ド ルー
ルーション地方、フランス領カタルーニャの中心都市であるペルピニャンから車で1時間ほど、テンプル騎士団が近くの川を掘りおこして作ったといわれる土地の近くにブーリエ家の畑と醸造所があります。
ワイン造りは主に奥様のセブリーヌが担当しています。ボルドー大学で醸造学を修めた才女で理想を追い求める完ぺき主義者。 地中海性気候で、暑く、乾燥している畑がオーガニックに向いていることをいち早く見抜き、ドメーヌを購入した1998年からずっとオーガニックでのぶどう栽培を続けています。
虹色のタンクが並ぶアーティスティックな醸造所で造られる強くしなやかなワインは、国内外のコンクールで数々のメダルを受賞。
現在はシラーの魅力を引き出した「イプソファクト」や「スクレ ド シスト」などプレミアムなワインなども手掛けています。
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ラングドック・ルーションワインと楽しむグルメ
地中海やピレネー山脈があるラングドック・ルーション地方は山の幸にも海の幸にも恵まれ、バラエティ豊かな郷土料理が楽しめます。 素材が良いのでグリルしたり、丸ごと煮込んだりするシンプルなレシピが多いようです。
ラングドック地方のカルカッソンヌの名物といえば肉と白いんげん豆を煮込んだ「カスレ」じっくり煮込んだ味わいは優しく体を温めてくれそうです。
またスペイン国境付近のルーションではガスパチョなどのスペインでおなじみの料理もよく食べられています。 エスカルゴといえばブルゴーニュが有名ですが、カタルーニャ風のエスカルゴ料理はバターとにんにくで味付けしたあと、熱したラードをまわしかけ、アイオリソースを添えていただきます。
おすすめラングドック・ルーションワイン
人気のラングドック・ルーションワイン
スクレ ド シスト 赤
・商品番号:44021
・生産者:ブーリエ家
(フランス・ルーション)
・合う料理:子羊の煮込み、仔牛の煮込み、ジビエの赤ワイン煮、ビーフシチュー、チーズなど
煮詰めたブラックチェリーやドライイチジク、黒胡椒やナツメグなどのスパイスに、コーヒーやチョコレート、動物の肉のようなやや野性味のある香りが混ざった濃密で複雑な香り。しなやかかつ力強い濃縮した果実味と、エレガントな酸味、深いコクがあり、飲みごたえを感じます。シラーに惚れ込んだ造り手が手掛けた渾身の1本。
ブランドブロー 白
・商品番号:73001
・生産者:レヴォル家
(フランス・ラングドック)
・合う料理:シーフード、サラダ、グリルチキン、アプリコットジャムを添えたチーズなど
桃やアプリコット、フレッシュなパイナップルなどのトロピカルなニュアンスも。印象的なフルーツの香りの奥から、ジャスミンのような花の香りも感じられます。味わいはドライで、しっかりした酸味が長く続きます。ほどよい飲みごたえがあり、シンプルながらインパクトが強い1本。飲み進めるうちに味わいの変化も楽しめるので、ワイン初心者にも親しみやすい白ワインです。
TB ピノノワール 赤
・商品番号:73013
・生産者:レヴォル家
(フランス・ラングドック)
・合う料理:鴨のロースト、きのこのリゾット、ブリーなどクリーミーなチーズなど
ピノノワール100%で仕上げ、クランベリーなどのフレッシュな赤い果実の香りに、味わいには黒果実のニュアンスも。シャープな酸味に、南仏の太陽を浴びたぶどうの旨味や果実味が楽しめる1本です。
ナチュール シャルドネ 白
・商品番号:73033
・生産者:レヴォル家
(フランス・ラングドック)
・合う料理:アクアパッツァ、ポトフ、湯豆腐、しらすおろしなど
シャルドネ100%で仕上げ、柑橘系の香りや白桃、アプリコットなどの果物の香りが楽しめます。きれいな酸味と穏やかな果実味で、湯豆腐などの和食とも相性抜群です。保存料無添加で仕上げました。