【マヴィ代表ブログ】山椒じゃこを白ワインで炊く|マヴィの料理用ワインを試す

2025年7月18日

白ワインで炊いたちりめん山椒とシャルドネを合わす

不良品はインポーターの宿命

小さい生産者からワインを輸入していると、どうしても不良品が混じってくる。

不良品と言っても様々、ラベル汚れ、ビン傷、キャップシールめくれ等の外観不良がほとんどだ。大企業の自動化された工場生産とは異なり、農家が自分の蔵で詰めているので、一定の品質管理が難しい。高齢化が進むと老眼度も増すということもあるが、地元の人たちは外観など気にせずにワインを買っていくので、元々たいして気にしていないという背景がある。

日本ではこの許容レベルが厳しいので、船が着くと倉庫で1本1本検品して不良品を抜き取ることになる。これをアウトレットとして値引いて販売しているが、通常はワイン自体の品質には問題が無いのでお買い得とご好評いただいている。

膨れた箱ワイン

しかし不良品もいろいろある。一番悩ましいのが箱ワインの不良。詰めたワインが輸送中に再発酵して炭酸ガスを発生させてしまい、箱が膨らんでしまうことがある。量産ワインで添加されるメタ重亜硫酸カリウムを使用しないから、オーガニックワインは生きている。このため再発酵を防ぐことがとても難しい。箱ワインはわずかの炭酸ガスでも膨れてしまうため、生産者はなかなか造ってくれない。無理にお願いして造ってもらっている箱ワインなので、リスクはマヴィが負うことになる。

昨年夏にヴェネチアから到着した箱ワインは、全量膨らんでいたため販売を断念、料理用ワインとして売ることにした。予期せぬ再発酵は微発泡ワインと違い、不快な香気成分が生じることが多い。このロットはまさにその状態だったのだ。

倉庫の移転や諸々の事情で1年間放置されていたのが発覚、とりあえず現状確認とシャルドネBIBを自宅に送ってもらい、試すことにした。

試してみた

まず、パンパンだったたはずの箱の膨らみがほとんど目立たない。炭酸ガスの発生期を過ぎて吸収されたかノズルのわずかな隙間から放出されたか。

開けてグラスに注いだところ、不快感のある臭気は全く感じない。口に含んでみたが日常ワインとしては十分に飲める。

とりあえず惜しくはないので料理に使おうと、山椒じゃこを炊いてみたら実に美味い。

白ワインで山椒じゃこ(ちりめん山椒)を炊く

サッと茹でてそのままの湯に半日浸け置いた山椒の実を、ザルですくいZIPロックに入れて冷蔵庫(氷温室)に入れてある。これがあると山椒じゃこは即席調理できる。

ちりめんじゃこを小鍋に入れ、ひたひたになるくらい白ワインをたっぷり注ぐ。
ここに薄口醤油とみりんをちょっと加えて弱火にかける。
ここで山椒の実を加えるが、あまり多いと辛くなり過ぎるので適量。
数分間、焦げないようにかき混ぜ続け、汁気が取れたら出来上がり。

市販品の山椒じゃことは違い、長期保存は目的としないから、お好みに合わせて、あっさりとした味付けにしていただきたい。

同じワインとの相性抜群

我家では冷奴に載せて食べることが多いが、そのままでワインのおつまみになる。今回は敢えて同じ料理用箱のワイン(シャルドネ)を合わせてみた。やはり鉄則通り、相性は抜群に良い。

もちろん1箱1箱状況は異なるから確実ではない。ただ一緒に届いたピノビアンコも不快な臭気を持っておらず、確率は悪くない。

 

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田村プロフィール画像
田村 安(マヴィ代表)
著書の「オーガニックワインの本」(春秋社刊)でグルマン・クックブック・アワード
日本書部門2004年ベストワインブック賞を受賞
フランス政府より農事功労章シュヴァリエ勲章受勲
ボルドーワイン騎士Connetablie de Guyenne