メルカートのクリスマス|柿と生ハムには重厚な白ワイン

2025年12月24日

この記事の要点

  • ローマのカターニャ通りのメルカートは、旬の野菜・果物が圧倒的に豊富で、肉や生ハム、パンもチェーン店とは別格。12月は市場にもクリスマス装飾が入り、祝日を挟む連休で休む店も多いため「買いだめ」が現実的な対策になる。
  • この季節は柿(kaki)やミカンが並び、熟した甘い柿に生ハムとオリーブ、バジルを合わせるだけで満足度の高い一皿になる。柿の甘さと生ハムの塩味・旨味を受け止める相手として、マニョーニ家のコクのある白ワイン「スパレット ビアンコ」が最良の組み合わせ。

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最終更新:2025-12-24

メルカート

カターニャ通りのメルカート(市場)は月曜~土曜の早朝7時~14時頃まで開いている。僕は日本との時差の関係で午前中に出られないので、毎日昼過ぎに買い出しに行く。

メルカートは公設で、建物の中には小さい区画がたくさんあり、入り口には花屋、中心にたくさんの八百屋、周辺部に肉屋、パン屋、魚屋、ハム・チーズ屋、総菜屋、生パスタ屋、乾物屋、オリーブ屋、量り売りワイン屋、金物屋、椅子の張替え屋、カフェが散らばり、郵便局と市役所の出張所まである。

お客は老人が多く、大概行きつけの店が決まっており、店主たちと会話を弾ませている。一方、近所のスーパーの客は対象的に50歳以下がほとんどで、棲み分けができているのは興味深い。

旬を反映する野菜や果物の豊富さが圧倒的なので、僕は毎日メルカートに通うことになる。肉や生ハムもパンもチェーン店とはレベルが違う。いい暮らしがしたければスーパーではなく、メルカートなのだ。

メルカートのクリスマス

12月になるとローマは街中がクリスマスイルミネーションで飾られる。メルカートも例外ではない。日が暮れるとそれなりに映えると思っていたら、ついに場内にはサンタクロース人形まで飾られた。触れると踊りだすのがイタリアっぽいのだが、子供がぶつかると倒れて転がってしまうのが難点か。

日本とは違い、イタリアのクリスマスは街中の店が閉まる。メルカートは25日と26日が公休日だが、今年は27日が土曜日だから続けて休み、5連休にする店も多い。なので、しっかり買いだめしておくしかない。

クリスマスはアウグーリ

24日のクリスマスイブ、メルカートの店主たちは皆大忙しだが連休を前に心が浮き、「Auguri (アウグーリ)」と声をかけてくれる。前日までは「Buon Natale! (ブオン・ナターレ!)」だったのだが、こう変わるんだ。

日本で「よいお年を!」が「おめでとう」に替わるのと同じでだと得心した。

メルカートで買える日本の果物

ローマの12月、メルカートでは柿やミカンが並ぶ。柿はkaki。Cachiと書かれることもあり、発音はどちらでもカキ。 日本語だ。

ちなみにリンゴのfujiもポピュラー。すべて東京のスーパーよりもはるかにおいしく、さらに安いのが嬉しい。なお、柿は固いものから熟したものまで、しっかりと揃えられているのが凄い。

熟した甘い柿を選び、行きつけのハム屋で生ハムをスライスしてもらい、 オリーブ屋で水につかっている緑色のオリーブも買ってきた。

Cachi con prosciutto crudo

柿の皮を剝いて、薄く櫛型に切り分け皿に並べる。その上に生ハムを敷き、オリーブの実を添える。色が欲しいのでバジルの葉を飾る。これだけで満足な美味しい一品「Cachi con prosciutto crudo」(カキ コン プロシュート クルード)の完成だ。

柿の甘さと生ハムの塩味とうまみは絶妙の組み合わせ。晩秋から冬、メロンが店頭から消えた季節も嘆くことはない、柿がある。

マニョーニ家のコクのある白ワイン スパレットとは最高の相性で、あっという間にグラスが進むのが常だ。

この記事に関するQ&A

柿はイタリア語でどう言いますか?
柿はイタリア語でCachiまたはKakiで、発音どちらもカキです。
柿と生ハムの一皿は、具体的にどう作る?
熟した甘い柿を選び、皮をむいて薄い櫛形に切って皿に並べます。上に生ハムを敷き、緑のオリーブを添え、色味としてバジルの葉を飾れば完成です。
なぜ「重厚な白ワイン」なの?
柿の甘さに、生ハムの塩味とうまみが重なるため、軽い白だと受け止めきれず、コクのある白がバランスを取りやすい。
田村プロフィール画像
田村 安(マヴィ代表)
著書の「オーガニックワインの本」(春秋社刊)でグルマン・クックブック・アワード日本書部門2004年ベストワインブック賞を受賞
フランス政府より農事功労章シュヴァリエ勲章受勲
ボルドーワイン騎士Connetablie de Guyenne