ロヴェロ家
14 個
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ピエモンテ地方は、イタリア北西部に位置し、世界的に有名な高品質ワインの生産地です。ネッビオーロ種から作られるバローロやバルバレスコが有名ですが、ピエモンテ全域で栽培されるバルベーラは特に酸味が豊かで果実味のあるワインを生み出す品種です。アルプス山脈の影響を受けた冷涼な気候がワインの酸味と複雑な風味をもたらします。
力強さと洗練性を兼ね備えたワインをつくるロヴェロ家のドメーヌは、イタリア北部のピエモンテ州アスティ県の人口1000人の小さな町、サン マルツァノット(アスティの町からは車で20分ほど)にあります。
敷地は20haほどで、うちぶどう畑が16ha、その他の野菜や果樹を育てたり、養蜂を行なったり、アグリツーリズモとして宿泊施設や、スローフード協会にも登録している予約制のレストランも運営しています。
レストランではオーガニック農法で栽培した自家製の野菜や果物を使って郷土料理を提供しています。また醸造所の屋根には太陽光パネルを設置して、敷地内で必要な電源は全て賄っています。
オーガニック歴:1985年から(認証は1987年)
ロヴェロ家は少なくとも1880年から続くワイン農家ですが、1985年に「化学合成物質のない場所で暮らし・働くため、また私たちの美しい大地を救い・守っていくため」にAIAB(イタリアの認証機関)の認証を取得してオーガニック転換しました。
現在、ドメーヌの中心人物は三つ子のパパでもあるエンリコですが、オーガニックに転換し現在の姿へと近づけていったのは、エンリコの父親であるミケリーノとその兄弟であるクラウディオ、フランコの三兄弟です。とても直向きで真面目なロヴェロ一家は「もしも今後も緑豊かな大地で暮らしていきたいなら、化学物質が少ない農業に立ち返る必要がある。このことを田舎に暮らす人々だけでなく、田舎にやってくる人々にもよく理解してもらわないといけないと思う。」と語っています。
また、ロヴェロ家のドメーヌは、ワインだけでなく、ぶどうの搾りかすを使って蒸留するグラッパ、白ワインを蒸留するブランデーも全てオーガニックで造っています。特に蒸留施設はイタリアでも120ヶ所しかなく、ロヴェロ家はそのうちの1つであり、オーガニックであることはかなり希少です。
また、農家民泊と農家レストランも一家で経営しており(エンリコの奥さん、お母さんや叔母さん、いとこなど総動員)、そこで使われる野菜や果物、蜂蜜なども育てていて、それらも全てオーガニック認証を受けています。
土壌は粘土石灰質ですが、傾斜が30度もあり、水はけは良くなっています。ロヴェロ家のドメーヌ最高級のワイン、ロウヴェを生み出す畑は3kmほど離れたところにあり、そちらは砂質の土壌でワインの香りにより繊細さが現れます。
ピエモンテ地方はアルプスの影響も受け、冬は冷涼な気候ではありますが、ロヴェロ家のある場所は地中海性気候のため、夏は気温は35℃まで上昇し、成長期・結実期・夏の終わりには太陽がよく照ります。雨もしばしば降りますが、全体の量としてはさほどではなく、合計で年に600~700mmです。
私たちはバルベーラひとつとっても、シンプルな味わいのものから、すごく複雑なものまで4種類のワインを造っています。そのどれもが自分にとって本当に大切です。全てのぶどうがロウヴェ(最高級)に向くものではないし、求められているワインもさまざまで、ふさわしい出番もさまざま。何よりもまずはその年にどんなぶどうができたか、そこからはじまるつながりが大切に思えます。
「こういうワイン」と決めて、固めてしまうことには興味がありません。気候条件から、グランヴァンが生まれるような年も、あまり強いワインにならない年も、どんな年も自然に向き合うことなので、それが本当に楽しい。ワイン造りは仕事というより、本当に大好きなことなのです。実験しながらいろいろ試していくのも楽しいし、その時々でベストを尽くすのが本当に楽しいです。