ワイン産地特集「ドイツ編」
ドイツワインについて
ドイツはぶどう栽培の北限地帯であり、ワインづくりは主に南部が中心となります。貴腐ワインなどの極甘口ワインや、フルーティでフレッシュな味わいのワインが造られています。
北海道より北に位置するドイツは、寒冷な気候であるものの、緯度が高いため日照時間は長く、また太陽の恩恵を出来る限り受けられるよう、ぶどう畑は急勾配の斜面に造られます。
その他にも、ライン川やマイン川などが暖まった空気を保ち、石から発せられる熱を利用しながら、ぶどうは夏にゆっくりと穏やかに熟していきます。
収穫は他の国より、1ヶ月ほど遅らせます。その結果、軽やかな口当たりながら奥行きを感じさせる、酸味と甘みのバランスがよいワインが生まれるのです。
白ワインなら、世界三大貴腐ワインにも名を連ねる極甘口のトロッケンベーレンアウスレーゼや冷涼な気候からなるフレッシュでフルーティな辛口、赤ワインは軽めで柔らかな口当たりながら、体にじっくり染み渡るような奥深い味わいが魅力的なドイツワイン。普段の食卓から、特別なひとときを彩る1本まで、様々な場面でお楽しみいただけます。
ドイツワインのポイント
1.冷涼な気候と川沿いのぶどう栽培ぶどう栽培の北限地帯であるドイツは冷涼な気候が特徴です。川に面した南向きの急斜面に畑を作ることで、直射日光と川からの反射で日照量が上がり、川から発生する霧が保温性を高めています。
2.白ワインとドイツのぶどう品種ドイツワインの6割以上が白ワインです。近年では温暖化の影響で栽培される赤ワインの品種も増え、またオーガニックに向く品種の栽培も盛んになってきました。
3.ドイツといえば甘口ワイン?ドイツワインといえば甘口の白ワインのイメージがありますが、冷涼な気候から生まれたきれいな酸味のフレッシュな辛口なども魅力です。
4.ドイツワインの等級ドイツワインは1971年に制定されたワイン法で厳密な格付けがなされています。主に地域でわけられた大きな4つの区分のほか、最も高い格付けのQ.m.pではさらに果汁に含まれる糖度ごとに6つの等級にわかれています。
1.冷涼な気候と川沿いのぶどう栽培
北海道より北に位置するドイツは冷涼な気候が特徴で、暑さと乾燥を好むぶどうにとっては少し厳しい条件になります。ですが、緯度が高いため夏の長い日照時間を利用し、きれいな酸味と果実味の両方が楽しめるワインが造られています。
またドイツのぶどう栽培はライン川やその支流に集中し、川に面した南向きの急斜面に畑を作ることで、直射日光と川からの反射で日照量を増やす工夫をしています。また川からの霧が、暖かい空気を保つ役割も果たしています。
2.白ワインとドイツのぶどう品種
ドイツでは冷涼な気候のため、白ワイン用のぶどう栽培が中心でした。栽培面積が第1位のリースリングをはじめ、ピノブランやピノグリ、ミュラー・トゥルガウやシルヴァーナーなどがあります。赤ワイン用は、シュペートブルグンダー(ピノノワール)やポルトゥギーザーなどどちらかというと柔らかな印象のぶどうが中心です。
近年では温暖化の影響により、カベルネソーヴィニヨンやメルローなどの国際的な赤ワイン品種の栽培も増えてきました。同時に、温暖化によってこれまでの冷涼な気候で造られるドイツワインの魅力をどう保っていくかの課題も生まれています。
またオーガニックワインの人気の高まりから、赤ワイン用のレゲントや白ワイン用のヨハニター、ソラリスなどカビ菌に耐性のある「ピーヴィー(PiWi=Pilzwiderstandsfähige Rebsorten)」と呼ばれる品種にも注目が集まっています。ピーヴィーは病気に強いため、農薬の使用量などを減らすことができるからです。
3.ドイツといえば甘口ワイン?
ドイツワインというと「飲みやすい甘口のワイン」というイメージが強く、日本でも初心者向けのワインとして長らく親しまれていました。
これは1950~1980年代に、ドイツの最大の輸出国だったアメリカで甘口のワインが好まれた影響で、糖分を添加して甘口に仕上げた安価なワインが出回った名残りです。
ですが、ドイツワインのもうひとつの魅力は、寒冷な気候が生んだすっきり辛口の味わいです。冷涼な気候で生まれたきれいな酸のあるぶどうを使い、いわゆる日本酒でいう「寒仕込み」のように、低い気温のときに仕込まれたワインはキレのある味わいが楽しめるものが多く、お料理と合わせるときにぴったりです。
4.ドイツワインの等級
ドイツワインは1971年に制定されたワイン法で厳密な格付けがなされています。主に地域でわけられた大きな4つの区分のほか、最も高い格付けのプレディカーツワインではさらに果汁に含まれる糖度ごとに6つの等級にわかれています。
プレディカーツヴァイン(証明書付き高品質ワイン)
補糖不可。さらに果汁の糖度ごとに以下の6つの格付けがある。
- トロッケンベーレンアウスレーゼ…貴腐菌がついた完熟ぶどうを使用する。貴腐ワイン。
- アイスヴァイン…樹の上で凍った完熟ぶどうを使用する。アイスワイン。
- ベーレンアウスレーゼ…完熟、または貴腐菌がついた質の良いぶどうの粒のみを使う。
- アウスレーゼ…十分に熟した良いぶどうの房のみを使う。
- シュペトレーゼ…通常より遅く収穫したぶどうのみ使う。
- カビネット…シュペトレーゼより糖分の低いぶどうを使い、6つの等級の中では唯一辛口に仕上がることも。お料理と合わせるのにぴったりです。
クヴァリテーツヴァイン(高品質ワイン)
13の栽培地域のぶどうを使用
ドイチャーラントヴァイン(ドイツの地ワイン)
19の栽培地域からなる地ワイン
ドイチャーターフェルワイン(ドイツのテーブルワイン)
ドイツ国内産ぶどう使用、いわゆるテーブルワイン。
マヴィのドイツワイン生産者
シュトリッツィンガー家/ドイツ・フランケン
ファミーユ シュトゥリッツィンガー
シュトリッツィンガー家はロマンチック街道のあるドイツ南部のフランケンで、個性豊かな“手づくりのワイン”をつくっています。
先代のヴィリさん々地元のワイナリーで醸造技術者として働いていました。自宅のぶどう畑は家族用のワインを作るためだけのものでしたが、徐々にぶどう栽培やワイン醸造に力を入れていき1985年にオーガニック転向し、1990年に認証を取得しました。ワイナリーは2001年に娘のアニヤが引き継ぎましたが、今でも家族一丸となってワイン造りに取り組んでいます。
畑は急勾配にあるため機械を導入できず、畑仕事はほとんど手作業の重労働です。
手造りで大切に育てられるため、年間生産量が少なく、そのほとんどは直接ドイツ国内で消費されています。シュトリッツィンガーさんのワインは日本ではとても貴重なのですい。
ドイツワインと楽しむグルメ
ドイツといえばソーセージやハムなどの肉加工品、またじゃがいも料理が有名です。
寒冷地であるドイツでは昔から食料が不足しがちだったため、保存食としての肉製品やザワークラウトなどのピクルス類、そして小麦よりも寒さに強いじゃがいもの栽培が盛んになりました。
ドイツの地方にそれぞれ郷土色豊かなソーセージが存在し、ビールやワインと楽しまれています。
また5月になるとホワイトアスパラガスが出始め、長い冬の終わりと温かい季節を迎える風物詩として特別な存在になっています
ドイツ ワイン
おすすめ人気ワイン
ポルトゥギーザー 赤
・商品番号:41001
・生産者:シュトリッツィンガー家
(ドイツ・フランケン)
・合う料理:野菜料理、芋類、豆、鶏肉、豚肉、ボイルした白ソーセージ、豚肉料理、ポトフ、ぶりの照り焼き、しいたけと生ハムの蒸し焼き、キャベツの蒸し煮など
野イチゴにハーブ、スパイス、やや土の香りも。可愛らしい果実味で上品。優しいがどこまでも深い味わいを楽しめます。
リースリング カビネット 白
・商品番号:41002
・生産者:シュトリッツィンガー家
(ドイツ・フランケン)
・合う料理:ソーセージ、ベッコフ、リエット、キッシュ、グジェール(チーズ味のシュー)、パテ、ホタテと野菜のグリル(オリーヴオイルをかけるかバターソース)、白身魚のホワイトソースグラタン、キャベツの蒸し煮など
青リンゴやナシ、ハーブの爽やかな香りと十分なミネラルを持つ、冷涼感溢れる白ワイン。
ヨハニター 白
・商品番号:41005
・生産者:シュトリッツィンガー家
(ドイツ・フランケン)
・合う料理:アサリの酒蒸し、ポタージュスープ、軽めのパスタ料理、生春巻きなど
白桃や洋梨から、アカシアや乳製品などの穏やかな香りと、ほどよいボリュームが楽しめる食事と合わせたい1本。
レゲント(樽熟) 赤
・商品番号:41008
・生産者:シュトリッツィンガー家
(ドイツ・フランケン)
・合う料理:ハムのグリル、カボチャのクリームグラタン、キノコのホイル蒸しなど
ベリー系の果実に、チェリーリキュールや甘草などを思わせる香り。赤果実を思わせる酸味と優しい樽香で複雑さを楽しめる1本です。