ククルーロ家
7 個
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シチリアは、地中海に浮かぶイタリア最大の島で、豊かな自然が魅力です。エトナ山をはじめとする火山地帯や、青い海に囲まれた美しい海岸線、そしてオリーブや柑橘類の広がる平野など、多様な自然環境を誇ります。
シチリアでは、ネロ・ダヴォラやカタラットなどの地元品種を使った個性的なワインが多く生産され、芳醇で豊かな風味が特徴です。シチリアの自然環境が育むブドウとそこから造られるワインは、世界中のワイン愛好家を魅了しています。
ククルーロ家はシチリアの中心部で4世代に渡り農業を営んでいます。当主フランチェスコさんの父は農業経営者として、食品会社など5つの事業を立ち上げながら、1990年代にいちはやくオーガニック栽培に取り組んでいました。
家族で経営する事業の中のひとつとしてぶどう園がありましたが、当時は大規模なワイナリー向けにぶどうを栽培し卸しているだけでした。
そのうちに、元々ワインが好きで他のワイナリーなどを訪問しながらワイン造りを学んでいたフランチェスコさんと姉のキャロライナさんが、自分たちのぶどうを使ったワイン造りの研究を始めます。フランチェスコさんのワイン造りは成功し、本格的なオーガニックワイン造りに乗り出しました。
メルローやシラーなど売りやすい品種を使い大量生産される工業的で安価なワインが中心のシチリアで、父のオーガニック農業への哲学を引き継いだフランチェスコさんたちは、地元の土着品種を使い、丁寧な自家醸造での高級ワイン造りを志しました。 今では古い農家を修復した施設で訪れるゲストにオーガニックワインの魅力を伝えています。
オーガニック歴:1990年代から
フランチェスコさんの父サルバトーレさんがオーガニック農業を始めた1990年代は、消費者や大手の工業的なワインメーカーがオーガニックに見向きもしていなかった時代です。サルバトーレさんはワイン造りの哲学として、環境に配慮したオーガニック農業を選択しました。
当主のフランチェスコさんはそんな父の思いを引き継ぎつつ、ただ「オーガニックだから良い」という考えではなく何よりもまずワインのおいしさがあり、そこに付加価値としてオーガニックであるべきだとも考えています。
近年では大手メーカーでも工業的なオーガニックワインが造られるようになり、フランチェスコさんはそのことをとても危惧しています。売り上げ向上だけを目的とした、品質や適正な価格などを考慮しないマーケティングのためのオーガニックワインが流通するのではないかということです。
「オーガニックであることは決して流行やマーケティングのためではなく、あくまで品質への付加価値であること、そのことを伝えていくことがオーガニック文化の発展にとって必要なのです」
・白ぶどう:グリッロ
・黒ぶどう:ネロダヴォラ、シラー
ククルーロ家があるのは農業が盛んなシチリアの中心地です。この土地は1世紀以上前から耕作を行っており、肥沃な大地には様々な作物が育っています。ククルーロ家でも、ぶどうだけではなピーチ、プルーン、アプリコットなどの果樹や、麦、干し草、オリーブオイルも生産しています。ぶどう畑は12ヘクタール、それ以外の作物の畑などを合わせた敷地は全部で120ヘクタールにもなります。
標高480mの丘の上の畑は穏やかな気候で、オーガニックでのぶどう栽培によく向いています。また昼夜では12度にもなる寒暖差によって、フランチェスコさんの造るワインはシチリア産の典型的な重口の赤ワインよりも、気品がありエレガンスさを感じる仕上がりになるそうです。
地質は50%が粘土質で50%が石灰岩です。粘土質は力強さや凝縮感を、石灰岩は酸味やエレガントさをワインに与えます。
・収穫は全量手摘み
農業一家のククルーロ家らしく、ワイン造りで一番大切にしているのはその土地や気候の持つ特徴とぶどう畑のそれぞれの区画のポテンシャルについて研究し、よく知り尽くしていることです。品質のよいぶどうを作り、今度は醸造部隊とチームを組んで、気候とぶどうの成熟度に合わせて正しい収穫期(全量手摘み)を考えます。
ククルーロ家では、異なる区画のぶどうを別々に仕込み、それぞれのキュヴェの出来に応じてどのようなワインに仕上げていくかを決めます。その際に特に気を使うのは、香り、タンニン、酸度などの構造や品質をしっかりと保つこと。そうすることで土地の味わいを反映し、エレガントさともちの良さを兼ね備えたワインになるといいます。
なによりも自分たちが作るぶどうの品質への自信があるククルーロ家では、醸造所での作業はできるだけ減らすことにしたのだそうです。
ぶどうの良い品質を保つために、4年ほど前から下記を実践しています。
1.より成熟したぶどうを使う
2.タンク・樽間の移動を最小限にする
3.濾過も最低限にする
4.清澄作業は白ワインは必要最低限に留め赤ワインでは行わない
目指すワインの味わいのために最低限の濾過や清澄は行いますが、清澄に使用するものはヴィーガン認証を受けた非動物性製品だけにしています。
オーガニックでワインを造ることのやりがいは、自然に対する愛情と情熱、異なる文化と国の人々と関係と交流があることだと考えています。 私の将来の夢は、まず自分の家族とワイナリーで働くメンバーに、オーガニック農業を通じて生まれた、尊敬、正直さ、謙虚さという、私自身も両親から受け継いだ価値を伝えてゆくことです。
その次に、自分たちの土地や施設を守り、将来の次の世代へ引き継いでゆきたいと考えています。
皆様どうぞ、4世代にも渡る農業起業家たちの懸命な働きの成果である、情熱的なオーガニック文化と哲学を持って造られた私達のワインをお試しください。