The Bartra family

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    バルトラ家の産地情報

    スペイン・カタルーニャ

    スペイン東部のカタルーニャ地方は、多様なワインスタイルが魅力の産地です。スパークリングワインのカヴァには、チャレロやマカベオといった地元品種が使われます。地中海性気候がブドウに豊かな果実味とバランスの取れた酸をもたらします。また、ペネデスなどの地域では、フルボディな赤ワインや高品質な白ワインも生産されています。

    バルトラ家のドメーヌと畑

    現当主のエンリック バルトラさんは1540年から続くドメーヌの20代目です。ドメーヌの周辺にはローマ人やアラブ人が遺したいくつかの遺跡があり、中世初期にかかれた文書で12世紀にはバルトラ家のドメーヌはすでにベルナール サセーラの名前で存在していたことが証明されています。

    地中海沿岸に位置し海までわずか4km。

    ドメーヌの景色は特徴的で、松、樫、オリーヴ、イナゴマメの森や小さな椰子の木のお陰で、一年中緑に囲まれています。そこにはさまざまな動植物が共生しており、まさに「生物多様性の宝庫」。

    小道や壁、石積みの小屋は、ローズマリー、タイム、ウイキョウ、ラベンダーといった香りのよい植物に取り囲まれていて、散歩するのにとても気持ちがいい場所です。

    ドメーヌの敷地は50ha、その内5区画に分かれるぶどう畑の広さは、およそ30ha。

    樹齢1000年を超えるオリーブの木、100年近くになるマカベオ。またバルトラ家がなければ絶滅していたかもしれないマルヴァジア・デ・シッジェスという幻の品種を大切に育て、非常に珍しい、白とは思えないような力強さをもつワインを生み出しています。

    オーガニックへの取り組み

    オーガニック歴:認証は1981年から

    バルトラ家はスペインでオーガニック認証が始まった直後、1981年にオーガニック転換しました(カタルーニャ州のCCCPAE認証取得)。

    いとことの共同運営で、そもそもはいとこがオーガニックに入れ込んだのがオーガニック転換のきっかけだそう。エンリックさんは彼に影響されて、家族の安全のため、消費者の安全のため、環境保全のためにオーガニックを始めました。

    オーガニック農業を選択することで、健康に生活でき、地下水に農薬を流さず、できる限り無駄なエネルギーを使わず二酸化炭素排出量を減らしていることを、誇りに思っています。

    エンリックさんにとってのやりがいは、大昔に先祖たちが始めたものを守り続けること、環境、安全な製品、伝統的な製法を守ることに貢献できること。そして夢は、先祖達の足跡を後世に引き継ぐこと、そして公正で持続可能な社会の維持に貢献することです。

    エンリックさんは、オーガニックを普及させるために横のつながりも大切にしており、スローフード協会の会員も務めています。スローフード協会は1986年イタリアで始まった、食文化を守る運動で、エンリックさんは地場品種を大切に育てており、地元では幻となったマルヴァジア・デ・シッジェスのワイン造りにも力を入れています。イタリアでよく育てられているマルヴァジアとは異なるもので、カタルーニャでも、他に生産している農家は数軒のみ。スローフード協会でも絶滅の危険がある品種に指定されています。

    バルトラ家で栽培している主なぶどう品種

    • 白ぶどう:マルヴァジア・デ・シッジェス、マカベオ、ソーヴィニヨンブランなど
    • 黒ぶどう:テンプラニーリョ、ガルナッチャ、メルローなど

    全部で12種類ほどのぶどうを育てています

    バルトラ家のワイン作り

    畑の土壌

    粘土石灰質、砂質、シリス(二酸化ケイ素)質。地中海に近いものの乾燥した地域で、寒暖の差も大きくぶどう栽培に適しています。

    冬は羊飼いが羊を連れてきて畑の草を食べてくれます。

    フェンネルやローズマリー、ルーダなどの香りの強い植物、松や樫、ピスタチオの仲間、椰子の仲間など、乾燥に強く成長がゆっくりなタイプの様々な植物があり、その植物を好む虫や動物も当然います。動物の好みは様々なので、植物の種類がたくさんあると、何かが食べ尽くされてしまうということもありません。またある1種類の植物がなくなると、その植物に対応する動物もいなくなってしまうので、なるべく多くの植物がバランスよく存在するよう生態系の保護にも気をつけています。

    栽培方法などの特徴

    現当主のエンリックさんは、ぶどう栽培やワイン醸造の実践だけでなく研究も熱心。1989-1990年、国費留学でアメリカのワイン名産地、ナパ近くのUC Davis(カリフォルニア大学デイヴィス校)でぶどう栽培とワイン醸造を学びました。身近なフランス、イタリアとはまったく別の文化・歴史を持った国を選んだそうです。オーガニックやスローフードなど新しいことにどんどん取り組んでいくというエンリックさんの気概はこんなところにも現れています。

    2008年時点では、ワインの研究所でも働いていて、例えばオーガニック農法で硫黄の代わりになるものはないか、土壌の状態、ぶどうの木を保護するのにどうすればいいか、発酵や酵母のことなどいろいろ研究していました。研究所自体はオーガニックに特化しているわけではありませんが、エンリックさんは他の方数名とオーガニックの研究を進めていたそうです。

    醸造方法などの特徴

    マルヴァジア・デ・シッジェスについて…

    かつてギリシャ人たちが栽培をしていた品種で、旅人によってシッジェスの町にもたらされた。この地のほかにはクロアチアやシチリアなど気候が合うところでしか育てられない、今ではとても貴重な品種。中世の人たちが味わっていたものを現代でも味わえる希少な存在です。縦に細長いぶどうで、ぶどうの粒同士の隙間が大きく生産性は低い(ただ、実が大きくなったときに風の通り道があるのはカビや菌などから実を守ることができる他のぶどうにはない特長)が、この品種を育てていることをとても誇りに思っています。

    白ワインでありながら、ボディが非常に強く、熟成したものはジビエ(鳩とか雉とか)にも合います。スタッフが訪問した際はカタルーニャ風パエリヤ(フィデウア)とマリアージュ。ワインが力強いので、甲殻類や貝のうまみともマッチ。年間6,000本しか造らない非常に希少性の高いワインです。

    生産者メッセージ

    生産者から日本の皆さまへ

    私たちのワインは大部分が地元スペインで飲まれていますが、非常に希少なマルヴァジア・デ・シッジェスの存在を日本のみなさんにも知っていただけるのは嬉しいことです。

    「しなやかで、心地よく、畑や造った人がよく表れている」理想のワインを求め、丹念なワイン造りに励んでいます。ベガ・デ・リベスのワインをぜひご堪能ください。

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