シャンパーニュ製法の上質スパークリング、クレマン
発泡性ワインといえば、誰でもまず最初にフランスのシャンパーニュ(英語ではシャンペン)を思い浮かべることでしょう。シャンパーニュはフランスのAOC(原産地統制名称)で規定されており、シャンパーニュ地方で定められた方法で作られたもののみがその名を冠することが出来ます。
つまり、同じシャンパーニュ製法で造られたとしても、他の地域で作られたものはシャンパーニュと呼ぶことはできません。
確かにシャンパーニュは有名で、その名前だけで購入する人も多いでしょう。しかし、"工業的で陳腐な、本当にまずいフランスのシャンパーニュ"(p. 7)が存在するのも事実で、そういったものよりはブルゴーニュ、アルザス、ボルドーといった他地域においてシャンパーニュ製法で造られたものの方がずっとおいしいというのも事実です。
そして、同じおいしさであるならばシャンパーニュでないものは価格もシャンパーニュの半分で済みます。クレマンは、そういったシャンパーニュ以外の地域で作られるシャンパーニュ製法のワインの1種です。
クレマンは1975年にAOCを取得、つまり法的にクレマンとはどういうワインかという規定が出来ました。クレマンの名の由来は"泡が半分取り除かれたシャンパーニュ、つまり泡が優しい(より品質の高い)シャンパーニュ"(p. 9)であり、19世紀にまでさかのぼります。
このクレマンというカテゴリーの創設に尽力したのはいわゆるシャンパーニュだけが発泡ワインであるかのようなシャンパーニュ地方の生産者と、品質も気にせずただ発泡しているワインを造る各地の生産者の中間に位置する生産者達でした。一般の人々にはなかなか手が出せない、高価かつ輸出向けに取っておかれるシャンパーニュと、一般の人々が買える発泡ワインには大きな溝があり、それを埋めたのがその中間に位置する彼らという訳です。
クレマンは伝統製法、いわゆるシャンパーニュ製法とほとんど同じ方法で造られており、"収穫と搾汁段階での選果"(手摘み、ブドウの運搬方法、搾汁量の制限など)、"泡の発生とワインの熟成段階での自然"(瓶詰の時期、瓶内二次醗酵、澱引きの時期など)、"検査と品質追求における厳格さ"(ブドウの重さ当たりの果汁量、ラベル表示、AOC授与のための試飲の必要性)といった、厳格な規定があります(p. 11)。
出来る限り自然のままに造られた、特にオーガニックのものは、大変素晴らしく、発泡ワインの中でも本当に注目されるべきものです。ちなみに、規定によりアルコール度数は11.5%と定められており、つまり比較的低いため、飲みやすいことも特徴でしょう。
クレマンには7種類あり、クレマン ド ブルゴーニュはその中の一つです。このクレマン ド ブルゴーニュはシャンパーニュと同様ピノ ノワールとシャルドネというブドウ品種を基本として造られることから、シャンパーニュと比較されることも多いワインです。
マヴィで扱っているシャトー ド サッソンジーのクレマン ド ブルゴーニュはセジェルとカリテによるとお勧めのクレマン ド ブルゴーニュとして満点(ハート3つ)を獲得しています。"純粋で飾り気がなく、細やかな泡がたっぷり。りんごと、粉を挽いたときのような香りは快く、攻撃的なところはない。口にふくむと、エレガントさをともなったふくよかで豊かな味わい。正統派クレマン・ド・ブルゴーニュで、アペリティフ、食事ともにいける"(同p. 29)とのこと。(※2014年1月現在こちらの商品のお取り扱いはございません)
マヴィには、他にも、クレマン ダルザス(フルボトル/ハーフボトル)、クレマン ダルザス ロゼ、クレマン ダルザス ブラン ド ノワール 発泡、クレマン ド ボルドー、クレマン ド ディという素晴らしいクレマンがあります。ぜひたっぷりとお楽しみくださいね!
クレマンを使った料理1:帆立貝のフリカッセ
【材料4人分】
からつきの帆立貝8個、ミントの葉4枚、バター50g、オリーブオイル大さじ1杯、塩、こしょう、にんにく1かけ、たまねぎ1/2個、しょうが1かけ、小麦粉25g、クレマン150cc
【つくり方】
- 帆立貝は殻から外し、3-4つに切る。殻はとっておく。身は塩、こしょうし、小麦粉を回りにはたいておく。にんにく、しょうが、たまねぎ、ミントはみじん切りにしておく。
- フライパンを熱し、分量の半量のバターとオリーブオイルを熱する。そこにみじん切りしたにんにく、しょうが、たまねぎを入れ、炒めておく。
- 別のフライパンに残りのバターとオイルを入れ、約2分間帆立貝を炒める。その後殻を加え、さらに2分間火を通す。
- そこに[2]、ミントの葉、クレマンを加える。よく混ぜて、クレマンがよく熱され、ソースにとろみがついたところで火を止める
- できるだけ熱いうちに召し上がれ。ブリュットもしくは、ブリュット・ド・ブリュットのクレマンと一緒にどうぞ。
クレマンを使った料理2:クレマンを使ったサバイヨンとぶどうのベニエ
【材料4人分】
サバイヨン(卵黄にお酒や水などを加えて作るソースのこと):卵黄4個分、グラニュー糖大さじ3、クレマン150ml
ベニエ:全卵1個、ぶどう1房、水150ml、小麦粉100g、コーンスターチ50g、砂糖ひとつまみ、揚げ物用の油適量
【つくり方】
- サバイヨン
- 卵黄4個分とグラニュー糖大さじ3を湯煎に掛けたボウルの中で、ふんわり、白っぽくなるまでよく泡立てる。その際、少しずつクレマンを注ぎ、都度よく混ぜながらクリーム状にしていく。
- 15分ほどしてクリームがちょうど良い固さになったら、容器に移す。できれば温かい状態で置いておく。
- ベニエ
- 大きなサラダボウルくらいの容器に、卵1個と冷たい水を入れよく泡立てる。
- 小麦粉とコーンスターチをふるいにかけ、[1]のボウルに入れたら砂糖をひとつまみ加えてさらに混ぜる。
- ぶどうを茎つきのまま3,4粒ずつに分け、先ほどの衣にくぐらせる
- 熱した揚げ油に衣をつけたぶどうを入れて揚げる。
- ほどよく色づいたら気をつけて油をきり、キッチンペーパーを敷いた深めのお皿に盛り付ける。
- できあがったら温かいうちにサバイヨンを添えて召し上がれ。もちろん辛口のクレマンと合わせるのがおすすめ!
参考・引用文献
Alain Segelle et Jean-Marc Carite
"La (recon)naissance des créments comme une leçon de modestie
au... champagne." Vin Bio Magazine No. 5 (pp. 6-13)
アラン セジェル & ジャン=マルク カリテ(ヴァン ビオ マガジン編集長) “クレマンの誕生、クレマンへの再認識~発泡性のお酒についてのちょっとしたお話~”
ヴァン ビオ マガジン 5号 (pp. 6-13)