ブルゴーニュ地方特集
フランス東部に位置するブルゴーニュ地方は、世界中のワインラバーを魅了する銘醸地。
ルイ14世やナポレオンなど、多くの王侯貴族にも愛されてきた歴史ある産地です。
ブルゴーニュワインの大きな特徴は、ぶどうをブレンドせずに造る「モノセパージュ(単一品種)」であること。
赤はピノ・ノワール、白はシャルドネが代表的で、品種の個性がそのまま土地の個性(テロワール)を映し出します。
また、ブルゴーニュでは小さな畑が複雑に入り組む地域。
わずか数メートル違うだけで、土壌中のミネラルや地層が異なるため、それぞれに独自の風味を生み出します。
まさに「土地を飲む」ワインといわれる所以です。
ワインの格付け(AOC)は、「特級畑」「一級畑」「村名」「地区・地方名」の4段階。
同じ畑のワインでも造り手によって印象が変わるのがブルゴーニュの奥深さです。
複雑な地層、冷涼な気候、生産者たちの哲学――。
そのすべてが一体となって生まれるブルゴーニュワインは、一度出会えば忘れられない味わいをもたらしてくれます。
知れば知るほど惹かれていく、その魅力をぜひお楽しみください。
モノセパージュ(単一品種)の魅力
ブルゴーニュワインの大きな特徴のひとつが、「モノセパージュ(単一品種)」で造られること。
赤ならピノ・ノワール、白ならシャルドネという、一つの品種だけで仕込むことで、ぶどうそのものの個性がストレートに表れます。
複数のぶどうをブレンドして味わいの調和を生み出すボルドーとは対照的に、ブルゴーニュでは品種と土地の相互の個性がワインの表情になります。
香りなどの印象はストレートに、味わいには気候や土壌の特徴が繊細に映し出されるのです。
ブルゴーニュの代表的なぶどう品種は、赤のピノ・ノワールと白のシャルドネ。
そのほかにも、爽やかな酸をもつ白のアリゴテや、ボジョレー地区の赤のガメイ、ごくわずかにソーヴィニヨンブランやピノブラン、ピノブーロなども栽培されています。
冷涼な気候が生むエレガンス
フランス東部に位置するブルゴーニュは、緯度の高い冷涼な大陸性気候が特徴です。
昼夜の寒暖差が大きく、夏は日照に恵まれ、冬は厳しい寒さに包まれます。
また、中央山地が海からの湿った風を受け止めることで、内陸のブルゴーニュは比較的乾燥した気候に保たれています。
この気候が、ぶどうをゆっくりと成熟させ、ワインに果実の凝縮感と伸びやかな酸をもたらします
9月から10月にかけては晴天が続くことが多く、通常はぶどうが十分に熟した10月に収穫が行われます。
10月の朝晩の冷え込む気温が果実の香りを引き締め、また仕込の際の微生物の汚染リスクが低下することで、雑味のない澄んだ味わいをもたらします。
こうした気候条件が、ブルゴーニュワインの繊細さとエレガンスを形づくっているのです。
海底由来の複雑な土壌
ブルゴーニュの大地は、かつて海底だった場所が約4千万年前の地殻変動によって隆起してできた土地です。
そのため、石灰岩・粘土・マール(泥灰土)などさまざまな鉱物が複雑に層を成し、地域ごとに異なる個性を生み出しています。
さらに、丘陵を縦断する断層によって地層が細かく分かれており、同じ村や畑の中でも土壌成分が異なるのが特徴です。
こうしたミネラルの違いが、ワインに多様な香りや質感を与え、ブルゴーニュ特有の繊細で奥行きのある味わいを形づくります。
このように、ブルゴーニュでは小さな区画の畑ごとに「土地の個性(テロワール)」が異なり、そこから生まれる多様な味わいが、ブルゴーニュワインの大きな魅力のひとつになっているのです。
格付けと“黄金の丘”コート・ドール
ブルゴーニュ地方では、ワインの品質や産地を示すためのAOC(原産地統制呼称)が細かく定められています。
その数は100を超え、フランス全体のAOCの約2割を占めるほど。小さな畑ごとに個性が異なるブルゴーニュならではの特徴です。
AOCは大きく次の4つに分類されます。
特級畑(グラン・クリュ)、一級畑(プルミエ・クリュ)、村名ワイン、地区・地方名ワイン。
畑の範囲が小さく、規定が厳しいほど上位の格付けとされます。
中でも、北の「ニュイ地区」と南の「ボーヌ地区」を合わせた一帯は、
“黄金の丘(コート・ドール)”と呼ばれるブルゴーニュの中心地です。
ピノ・ノワールとシャルドネの最高峰が生まれる場所として、世界中の愛好家に知られています。
格付けや地名の複雑さはブルゴーニュの奥深さそのもの。
しかし、それぞれの区画と造り手に込められた情熱を知ることで、ワイン選びはぐっと楽しく、豊かな体験へと変わります。
ニュイ地区
ペルチエ家のシャトーがある北エリアのニュイ地区はかの有名なロマネ・コンティや、シャンベルタンといった世界最高峰のワインの故郷でもあります。
南北に長細く伸びる一帯になだらかな東向きの斜面が続きます。土壌は石灰分を含む粘土質で、ピノノワールの栽培に最も適しているといわれます。厚みのあるボディが特長の赤ワインと、溌剌として酸味がきれいな白ワインが楽しめます。特にペルチエさんも畑を持っているニュイサンジョルジュでは力強さのあるワインが特徴です。
ボーヌ地区
シャペル家のドメーヌがある南エリア、ボーヌ地区はモンラッシェやムルソーなどの上質で香り高い白ワインの産地として有名です。
毎年11月第3日曜日に行われる最も有名なワインオークションが開催されるオスピス・ド・ボーヌもこの地にあります。
皆さんがシャルドネと聞いて思い浮かべる複雑でコクのあるリッチな味わいは、ここの味わいではないでしょうか。
また、シャペルさんの造る赤ワインは繊細で柔らかな味わいを楽しむことができますよ。
マヴィのブルゴーニュワイン生産者
ペルチエ家/ブルゴーニュ ニュイ地区
シャトー ド プレモー
ブルゴーニュのニュイ サン ジョルジュに畑を持つ、ペルチエ家のシャトー ド プレモー。ペルチエ家が1920年にシャトーを購入し、以来家族で経営されています。
現当主アルノーの父、アラン・ペルチエ氏が1995年に畑を相続した際、「この美しい景色を汚したくない」「自分たちが飲みたいと思える清らかなワインを造りたい」という想いからオーガニックへの転換を決意しました。保守的なブルゴーニュでは挑戦的な選択でしたが、区画ごとに慎重に取り組み、現在では周囲の畑にもその理念が広がっています。
あるときアルノーは、隣接する畑が慣行農業であることに耐えられず、直接オーナーに交渉。「自分が責任を持ってオーガニックで育てたい」と訴え、最初は拒まれながらも誠実な姿勢で信頼を得て、今ではその畑もオーガニック栽培へと転換したほど。
ペルチエ家はコンクールへの出品を行わず、「お客様の笑顔こそが最高のメダル」と話します。彼らにとってワイン造りは誇りであり、次世代へ継ぐ責任でもあるのです。
ペルチエ家のワインは95%が一般顧客、ほぼ100%がフランス国内消費という地元で愛される逸品。日本はもちろんフランス国外では入手困難な希少品です。
シャペル家/ブルゴーニュ ボーヌ地区
ドメーヌ シャペル
ブルゴーニュ南部、白ワインの名産地ボーヌ地区。その一角、静かな丘陵地に広がるサントネー村で、シャペル家は1893年からぶどう栽培を続けています。ムルソーやモンラッシェにほど近いこの地は、粘土石灰質の土壌と穏やかな気候に恵まれ、華やかな香りとミネラル感を持つエレガントなワインを生み出します。
現当主フランソワ・シャペル氏の父ロジェの時代、フランス全体が生産性を重視する農業政策を推進し、化学肥料や除草剤、機械化が急速に広まりました。
しかし、やがてロジェ氏はその弊害に気づきます。殺虫剤を使っても害虫は再び増え、除草剤でも枯れない雑草が現れ、ワインの酸も失われていったのです。畑やぶどうの持つ自然の力が弱まっていっていることを、彼は痛感しました。
シャンパーニュやローヌで修業を積んだフランソワ氏は1988年に家業へ戻り、環境とぶどうの調和を重んじる新しい方向へ舵を切ります。
フランソワ氏が大切にしているのは、「土地」「ぶどう」「人」といった、あらゆる「生命の営み(VIE)」への敬意です。
こうして2004年にオーガニックへの完全転換を実現。現在はサントネーを中心に、ムルソー、ポマール、アロース・コルトンなど9つのアペラシオンに畑を持ち、それぞれのテロワールを尊重したワイン造りを行っています。
シャペル家のワインには、世代を超えて受け継がれた誠実さと、自然への深い敬意が宿っています。
ブルゴーニュワインと楽しむグルメ
ブルゴーニュの名物料理は枚挙に暇がありません。
グジェールというチーズ風味のシュー、ハムとパセリをコンソメゼリーで寄せた「ジャンボンペルシエ、炒めたベーコンや玉ねぎ、マッシュールに赤ワインを加えたソースでいただくポーチドエッグのウフ アン ムーレット、ブルゴーニュバターを使ったエスカルゴ料理などが有名です。
またメインには鶏肉のクリーム煮、鶏肉や牛肉を赤ワインで煮込んだコックオーヴァンやブッフブルギニヨンなどワインと一緒に食べたい郷土料理がたくさんあります。
コクのある白ワインにはクリームやバターの風味があるお料理、複雑な味わいの赤ワインには力強さのあるお肉の煮込み料理を合わせてお楽しみください。
ブルゴーニュワイン早見表(AOC別)
一級畑(プルミエ クリュ)

村名

地区・地方名
【地区】



※ボジョレーもブルゴーニュの地区名ワインです。
【地方】






